晃華学園中学校 (東京都調布市) 学校探検
マリア様のように


アクセスは中央線「三鷹」駅からバス20分弱、または京王線「調布」からバス15分弱、「つつじヶ丘」よりバス6分。武蔵野の面影が色濃く残る閑静な環境に囲まれる。新宿→三鷹は特快で14分、立川→三鷹は18分。また、神保町→つつじヶ丘が29分、と都心からも十分通学可能。(写真はJR三鷹駅南口)
―まず、御校の沿革について教えてください。

 フランス革命の時に、アデルという一人の修道女が街にあふれるストリートチルドレンの子供たちを見て教育活動をしたいと思い立ち、シャミナードという神父に相談をして協力を得てマリア会という修道会を作ったのですけれども、そこが出発点です。本校の母体は“汚れなきマリア修道会”で、建学の精神はカトリックの精神に基づいています。

―暁星学園附属の幼稚園の開設を発祥として、現在は幼・小・中・高の一貫教育をとられていますが、御校の一貫教育の特色はどのような点にありますか。

 一貫教育ということでいわば一つのファミリーではあるのですが、幼稚園と小学校は男女共学、中学・高校は女子校です。小学校から中学校へは40人くらいの生徒が進学しますが、中学から入られる方はその辺りの不安をお持ちのようなので、入学式前に2泊3日のオリエンテーション合宿を行い、安心して中学1年のスタートを切れるようにしています。
英語も小学校で学んだとか帰国生であるとかあまり関係なく、ABCを初めて習うという前提でやっています。

―校訓について教えて下さい。

 本校はカトリックの学校で聖母マリアを通して神様の望まれる姿になっていくというところがありますので“マリア様のように”ということです。

―カトリックの学校ということで厳格なイメージがあるのですが…。

 世間一般のカトリックの女子校というイメージの中では、本校は非常にリベラルな雰囲気を持った学校だと思います。例えば髪の毛が肩についたら三つ編みとか、そういう厳しさではないです。ただ自分に甘い子供というは学業においても甘くなってしまうので、本人の甘い気持ちは鍛えていかなければならない。与えられた自分の髪の色であったり目の大きさであったり、そういうものをありがたいと思いこそすれ、それを不満だと人工的に変えるのはまだ早いのではないですか、という基本的な考え方があります。私たちの品位ある女性を育てたいという気持ちと、現代を生きているおしゃれ盛りの生徒たちとの攻防戦になり、なかなか難しいのですが、基本線は「理解して自らを律してほしい」ということです。

50000uを超える敷地に、中・高、幼稚園(暁星学園附属マリアの園幼稚園)、マリアンハウス(修道院)が点在している。設立母体である“汚れなきマリア”修道会は、九段の暁星学園の設立母体である男子マリア会とは姉妹関係にある。

―宗教教育については、礼拝は行われていますが信者をつくることが目標ではない、と。

 はい、キリスト教的なミサは年数回で、復活祭の時には全生徒がイグナチオ教会でミサを受けます。それから11月1日が創立記念日でもありキリスト教的には“死者の日”なので静修会を行い、希望者によるクリスマスのミサ、卒業式の後にもミサを行います。面白いのは卒業生が成人式を迎えるときに、有志が集まり学校の聖堂でミサを受けることです。
 カトリックの学校でカトリックの精神に基づいた教育を行っていますが、おっしゃるとおり信者をつくることが第一の目標ではありません。宗教的なことを強要するつもりもありません。ただ学校が大事にしていること、例えば朝、祈りをして聖歌を歌うのですが、ある人が大事にしているものに対してはあなたも尊敬の念を払いなさい、逆にあなたの大事にしているものを踏みにじったりはしません、という考え方でやっています。生徒たちは信者ではないけれども、本当に困った時にどうしたらいいかということを6年間かけて学んでいくのだと思います。

―「宗教」という科目が時間割にありますね。聖書を学ぶのですか。

 宗教の時間は各学年とも週1時間あります。6学年で生徒たちの心の準備というものも違いますので、宗教の時間なんですけれども自分の心に向かい合うために、学年ごとにいろいろな授業の形になっています。例えば、中1では聖書から学んで、中3では「好きな歌でいいから、愛を感じる歌を選んでごらん」と言ってポピュラーソングからクラシックまで自由に“愛”を感じる歌を発表したりとか、高3では“クローン人間”についてディベートしたりとかさまざまです。

―定期テストでの扱いはどうなるのでしょう。

 「宗教」で点数をつける難しさはあるのですが、宗教科の方でいろいろと判断基準を決めて、試験では授業中に学んだある程度の知識も出題しますが半分は「あなたはどう思うか」形式のことを書かせて評価しています。100点満点ではなく10段階で成績を出します。

イースター、慰霊祭、クリスマス、と年に数回の宗教行事が行われる。カトリックの精神に基づいた教育を行っているが、信者をつくることが第一の目標ではない、とのこと。写真はクリスマス・ミサの様子。

―総合的な学習として中学3年間をかけて卒業論文をまとめるとのことですね。

 例えば「不思議の国のアリスの数学的考察」という題で英語で書かれた論文など、ユニークないい論文がたくさんあります。優秀な論文は一冊にまとめてありますので、ぜひご覧ください。

―「英語の晃華学園」といわれますが、英語の授業の特色について教えて下さい。
 
 英語を楽しめるようになってほしいのですが、最終的な目標は自分の思いを相手に英語で伝えることですから、「使える英語」を目指しています。そのために専任のネイティブ・スピーカーの先生がおります。今はアメリカ人の先生が2人で、講師としてカナダ人の先生が2人おります。専任のうち1人の先生は日本で免許も取りましたので担任もしております。例えば中1で「美女と野獣」や「アラジン」の映画を観ながら、大人でも難しいセリフを覚えてしまったり歌を歌ったりするのですが、そういうものから入って使える英語を目指しています。中3では国語の授業を英語でするような感覚で、「ロミオとジュリエット」を英語で読み、英語で解説し、質問も英語、答えも英語といった英英授業を行っています。スピーチ・コンテストも充実しておりますので、英語を武器に何か面白いことをやりたいという人にとっては十分に英語を勉強できる環境にあると思います。

―中学から高校への内部進学について教えて下さい。

 基本的にはそのまま進学できます。ただ著しい不適合をおこしている場合には、本人や保護者と十分に話をして、本人にとって一番いいところに移る場合もあります。

―内部進学せずに外部に出る生徒はどのくらいいますか。

 年度によりますが、数名です。

―授業についていけない場合の補習や夏休み期間の講習について教えて下さい。

 中学の場合には勉強のシステムを確立することがとても大事で、点数よりも勉強の仕方が大丈夫なのか、大きな試験のたびに科目ごとに補習の日程を設定します。少人数で勉強の仕方から指導します。中学の間は教師の方から積極的にアプローチしています。高校になると逆に生徒の方から希望しての補習が多くなります。夏期講習については科目によって違います。授業形式あるいはチューター形式で自学自習中心の場合もあります。高3については受験対策の講習となります。

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