2010年の入試は多くの学校で志願者が減り、入試倍率も緩和され受験生にとってはチャンスが拡大した年となりました。来年度も同じ状況が予想されていますので、受験生には勉強の成果がより出やすくなり第一志望校合格の可能性も高まります。首都圏の入試の総括とともに、来年度の受験状況の予測を中学受験の専門家である森上教育研究所の森上展安所長と麻布個人指導会の永吉信夫代表に聞きました。
受験生にとってはチャンスだった今春入試
永吉 今年は受験者数がどうなるのか大いに注目されました。不況の影響は少なからずあったようですね。
森上 やはり受験者実数は3.5%弱くらい減ったと推定しています。2月1日の受験者数に限定して注目してみると5年前とほぼ同数ですから、受験生にとってはくみしやすい入試だったといえそうです。
永吉 私たちが何よりも実感したのは多くの女子校が緩和したことです。名門といわれる女子校でも倍率の低い学校が少なからずあったことに驚かされました。
森上 そうですね。一昨年比で見ると有力大学に進学実績の高い難関校や洗足学園や品川女子などを例外にして大体志願者数を減らしています。また各校とも合格者を多めに発表したためいっそう緩和感が強まりました。例年人気の高かったキリスト教系の学校も倍率を下げました。
永吉 大学付属校も、新設校などの話題が盛り上がったわりには穏やかな入試でしたね。
森上 男子の志願者は確かに少し減りました。女子のほうも一昨年比でも減少しており、女子校人気がふるわなかった分、共学校に流れた傾向が見られました。
永吉 また今年は後半日程の合格状況が緩やかになり、中堅・上位校の2回目入試や3回目入試のチャンスがかなり広がった観があります。
森上 確実にチャンスが広がりましたね。受験者数が多いと後半日程で合格するのは難しくなりますが、減少すれば当然緩やかになります。学校によっては後半日程の応募者が昨年より20%減というケースもあり、よい結果を得た受験生が多かったのではないでしょうか。
永吉 そうですね、当会でも聖光学院の受験で2月2日の第一回入試が不合格で4日の2回目入試に合格した例など、2回目、3回目入試で第一志望校の合格を勝ち取ったケースが例年にも増して目立ちました。
森上 ただし注意しなければいけないのは、御三家や駒場東邦、豊島岡女子などの最難関校の入試はまったく緩んでいない、ということです。倍率もほとんど変化はなく、不況の影響もこと最上位層について言えば見られませんでした。
永吉 当会の合格者を見ても、やはりそのランクの学校に関しては入念な準備と対策をして臨んだ生徒ばかりでした。「二極化」というのはここ数年言われていることですが、今年に関してはよりその傾向が顕著になったと言えるのではないでしょうか。
私立の応募者が減少した反面、公立一貫校はすでに一大勢力を形成した印象があります。応募実数はいかがでしたか。
森上 都立は新設校ができたために定員は1.5倍に増えましたが、受験総数は1.3倍止まりでした。つまり学校数が増加して総数としては増えたけれど、一つ一つの既存校の応募者は減ったことになります。ただし私立受験生は3.5%減なのに公立一貫校受験生は大幅に伸びていますから、公立だけを受けた受験生が多かったわけですね。
私立と公立を併願する層はどの辺りでしたか。
永吉 当会の例でいうと、公立一貫校を併願に組み入れた受験生のほとんどは偏差値50台でした。60台に行くと公立との併願はぐんと少なかったですね。
森上 公立一貫校では来年から白?、その翌年には小石川と続いて大学合格実績が明らかになりますから、その結果次第では今の3・4年生が受験する頃には相当併願が増える可能性が出てきます。ただこんな時代だからこそ、各私立校は必死で教育成果を上げていくことに努力しています。「今こそお買い得」といった一面もありますから、ご家庭では学校内容をよくよく吟味して受験校を決定するといいですね。
高い目標を手中にできる絶好の機会
永吉 難関校は別として全体的に「緩やかな入試」であったということは、受験生にとって「努力がきちんと実を結ぶ入試だった」ともいえます。合格発表後に各ご家庭から報告のお電話をもらうのですが、今年に関しては「塾では難しいと言われたけれど、無理を承知で受験して良かった」という声を聞くことが多かった気がします。
森上 今年の受験生は、受験率が最高潮だった厳しい時期に勉強をスタートしています。だから4年生から塾に通って鍛えられ、その順当な結果を得たということなのでしょう。そのせいか学校側からも、応募倍率は低くなったものの、合格者のレベルは下がってないという声が結構聞こえてきます。
永吉 志望校選択にしても、以前より地に足が着いている感じがあります。チャレンジ校は1校におさえて、あとの学校は堅実に選ぶご家庭が多くなりました。そんななかで際立っていたのが、女子の理系志向です。理系進学に強い豊島岡女子は根強い人気でした。
森上 豊島岡女子は間違いなく今年最も目立った学校のひとつです。あとはフェリス、横浜雙葉、白百合など東大合格者を10名前後出している学校も受験生を集めました。
永吉 ご家庭にうかがって話を聞くと、中学受験段階から医学部進学をはっきり意識しているケースも大変増えています。以前は医師のご家庭のお子さんが医学部を目指す例が多かったのですが、今は医師ではないご家庭でも多くなりました。ですからご父母が学校の実力を判断する基準も、医学部をはじめとする理系合格者数と東大初め難関大学への合格者数という二次元で判断しているようなところがあります。
森上 実際に医学部合格者数は応募状況に大きな影響を与えています。駒場東邦や巣鴨、また一時少し易しくなった攻玉社も盛り返しています。こうした実態を考えると、受験勉強はもちろん合格するための勉強ではありますが、将来に向けて、しっかりとした基礎を築く意味でも重要です。算数にしてもパターン学習ではない本来の力をつける意味でも、家庭教師の存在は期待できますね。
永吉 そこは私たちが最も声を大にして言いたいところです。本物の学力を養うには、土台を積み上げる時間こそが重要です。それが春から夏休みまでの時期なのです。じっくり時間をかけることによって、算数では本物の思考力を、また伸ばしにくいと言われる国語でも読解力と記述力をつけることが十分に可能です。
森上 付け焼刃ではない真の学力は一生涯役立つものですから、受験勉強をそのよいきっかけにできれば理想的ですね。来年の入試は受験率がさらに下がり、おそらく今年よりもっと緩やかになるはずです。受験生にとっては大きなチャンスですから、逃さないようにしてほしいですね。
勉強のやり方次第で、高い目標を手中にできるチャンスが大きく広がっているのが来年入試です。ぜひ一緒に掴み取るお手伝いをさせていただきたいと思います。
早めの指導開始で第一志望合格。
専門家庭教師の確かな指導力
森上 志望校合格のためには早い時期にスタートするのが理想ですが、皆さん塾に通い始めるのが遅くなっていますね。学力的な仕上がりにちょっと不安を覚えますが。
永吉 毎年、当会では各ご家庭に入試後のアンケートをお願いしているのですが、例年一番多いのが「もっと早くから家庭教師をつければよかった」という声です。とりわけ秋から家庭教師をつけたご家庭では「短期間でこんなに伸びたのなら、もうちょっとやり方があったのではないか」と悔いを残されるようです。
森上 春からの指導で十分に時間をかけたことにより、目覚しい結果を引き出した、というケースもあるでしょうね。
永吉 今年でいえば、算数の偏差値が50台前半からスタートして早大学院に合格した例、もう一人は家庭教師の指導だけで豊島岡女子に受かった女子の例、この二つのケースが印象的でした。
森上 それは確かに顕著な成功例ですね。具体的にはどのような指導をしたのですか。
永吉 前者の男子は算数にかなり強い苦手意識を持っていました。5年生の秋に学校行事が忙しくて、塾も休みがちだったそうです。ちょうど算数の学習内容が難しさを増したその時期に穴ができてしまい、それが尾を引いていました。春からのスタートということで講師も焦らずに弱点補強が出来たのが大きかったと思います。
後者の女子は週に二回の指導でしたが、二人の講師が家庭学習の計画を立て、それを本人も一生懸命やってくれました。ご両親からは入試が終わった後「ベテラン講師なのですべてを安心して任せることが出来た」という言葉をいただきました。
森上 なるほど、どちらも熟練の専門家ならではの成功例ですね。
永吉 開始時期が早ければ早いほどよい結果を得られると自信を持っていえます。学力アップということだけではなく、「子どもを励ましほめてくれて、やる気を出させてくれたことが本当にありがたかった」という言葉もよくいただきます。
森上 基礎学力をつけるべき時期を逃さないことが本当に大事ですね。中学受験生はまだ幼いですから、一人でがんばりなさいといってもむりです。頼りになる大人が身近にいて、いつでも味方になってくれると確信を持てるだけでも心強いですね。品質管理というと変ですが、人材的には厳しい人選を行っていますか。
永吉 少子化や不況などわれわれには厳しい時代だけに、率直に言って家庭教師の需要は右肩上がりとはいきません。それだけに私たちも人材の妥協は決してせずに、選り抜いた優秀な先生だけを派遣しています。中学受験の専門家庭教師ですから、高いスキルで行き届いた指導をするだけではありません。学校情報にも詳しいので、志望校選びについてもどうぞご相談下さい。
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