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 2010年 麻布個人指導会 中学受験専門家庭教師座談会 専門家庭教師で伸ばす本物の学力
 入試は受験生にいやおうなく訪れる試練です。しかしその試練は同時に大きなチャンスでもあります。
  今年度の入試においても麻布個人指導会では382名の受験生の家庭がそのチャンスをいかし、合格の栄冠をつかみとりました。しかしその陰には受験生一人ひとりのさまざまな苦難と努力、そして寄り添う家庭教師の工夫がありました。その受験生の合格を支えた家庭教師を代表して4人の先生に合格者の成功の軌跡を振り返ってもらいました。


【出席者】
●専門家庭教師(五十音順)
 大木 葉子
 富永 恭子
 藤木 泰生
 横林 芳雄
●司会 麻布個人指導会教務  
 谷地又 俊明

チャレンジ受験の
 第一志望校に見事合格!

横林 芳雄(よこばやし よしお)
大学卒業後、中学受験最大手塾の講師として12年間経験を積む。現在は当会専任講師。強い責任感と豊富な指導歴で培われた指導力で、確実に生徒の学力を伸ばす。担当生徒の第一志望合格率は当会講師の中でも屈指。二児をもつ、よき家庭人でもある。

(過去の合格実績)
筑波大駒場・開成・麻布・駒場東邦・桜蔭・女子学院・豊島岡女子・栄光学園・聖光学院・慶応中等部・慶応普通部・慶応湘南藤沢・早稲田・早実・海城・巣鴨・攻玉社・芝・浅野・サレジオなど。

司会 今春の入試を振り返り、成功に導いた受験生の中から印象に残ったお子さんについてお聞きしたいと思います。横林先生は今年も女子学院、慶應中等部など多くの難関校に合格例がありますが、特に海城に受かったG君は、スタート時の成績を考えると素晴らしい結果でした。

横林 彼の場合はずい分前から学生家庭教師がついていたようです。でも一向に成績があがらない。それでお父様が専門家庭教師に見てほしいと希望され、5年生の春から指導がスタートしました。

司会 最初にご連絡いただいたとき、お母様が「とにかく一人では全然勉強しない」と言っておられましたね。

横林 図を書く習慣がつくよう徹底しました

横林 体験授業でわかったのは「やらされている感」が強くて受け身なんですね。それだとどうしても身につくものが少ない。また計算や式をほとんど書かずに、頭でパパッと答を出そうとする。まずはそこを改善しようと、手を動かし、図や式をきちんと書く作業を習慣づけるように徹底的にトレーニングしました。

司会 6年生になって、週2日の指導に増やしたことも効を奏しましたね。

横林 そうですね。結果的にチャレンジ受験だった海城のほか城北、市川に合格し、ご両親は本当に喜んでおられました。

司会 富永先生は、塾をやめて家庭教師一本に切り替えたお子さんをはじめ、今年も多くの受験生を第一志望に導きました。雙葉に合格したJさんは、ちょうど去年の今頃からでしたね。

富永 雙葉は本人もご家庭も完全にチャレンジ受験のつもりだったので、大変喜んでいました。宿題の多い塾に通っていたこともあり、初対面のときは少し疲れた表情で、勉強をどう進めていけばよいのか戸惑っている様子でした。でも教え始めて1ヵ月でかなり伸びて、塾の先生に驚かれたそうです。

司会 どのような点に注意して指導をしたのですか。

富永 まず「交通整理」をしました。Jさんは塾の授業はきちんと聞いていても、先生が教える解法を理由もわからずに暗記しているような状態でした。「急いで答を出さなくてもいい」と伝え、なぜこうなるのかという「理由」を指導に取り入れたことで、本人が納得して勉強を進められるようになりました。それがぐんと伸びた最大の理由です。

司会 大木先生は帰国子女のTさんを、一般入試で頌栄女子合格に導きました。それも塾に通わず、先生の指導だけでの合格でした。

大木 Tさんは小学校高学年で初めて日本に帰国したお子さんで、海外では現地校に通っていたこともあり、特に算数が大きく出遅れていました。やはり低学年から塾で鍛えられていたお子さんたちに比べると、「知らないことが多いな」というのが最初の正直な感想でした。

司会 不利と思われていた一般入試で合格。お母様も驚かれていました。

大木 帰国生入試は12月だったので、私としては間に合わないことは織り込み済みでした。本人やお母様にも「帰国生入試が不合格になっても落ち込まないで。一般入試で何とかしますから」と予め申し上げたのも良かったのかもしれません。最後の一ヶ月半で本当に良く伸びてくれました。

今から? 直前期だけ?   
できることの大きな差

大木 葉子 (おおき ようこ)

大手進学塾講師歴5年、家庭教師および個別指導塾講師歴16年のベテラン講師。4科目すべてを難関校レベルまで指導可能な当会でも屈指のオールラウンダー。その高い分析力と説明力は例外なく多くの家庭から高評価を得ている。

(過去の合格実績)
 桜蔭・女子学院・豊島岡女子・鷗友学園女子・吉祥女子・青山学院・洗足学園・大妻・香蘭・普連土・品川女子・海城・芝・筑波大附属・お茶の水女子大附など。

司会 藤木先生は国語の指導で大活躍していただきました。なかでも中大付属に合格したM君は大きくに伸びましたね。

藤木 彼は小学生にしてはめずらしく詩が好きで、それが逆に国語の成績が上がらない原因でもありました。つまり詩の感覚で問題を解こうとする。例えば原因や理由を選択肢から選ぶとき、結果に至るまでにはいくつかの事柄が連鎖しているわけですが、その中でこの原因と結果を結びつけたら面白いだろうと。発想がユニークなゆえに正解をはずしてしまうんですね。

司会 正解をはずす理由を発見するのは、集団指導の中ではとてもムリでしょう。専門家庭教師だから可能な好例だと思います。

藤木 指導上で私が一番大切にしたのは対話です。出来事をA→B→C→Dと順番にノートに書き、普通はどの部分を書けば評価を得られるのか、じっくり話し合いながら段々と常識的な解答を導き出せるようにしていきました。もともと力のあるお子さんですから本当に面白いように伸びました。

司会 今の話からも一人ひとりの実情に応じた指導が重要だということがわかりました。ご家庭から塾のフォローを要望された場合、そのバランスについてどう考えますか。

横林 塾の勉強の流れを全く無視してしまうと、お子さんが混乱しかねません。ですから今の時期から指導する場合、夏休み明けくらいまでは塾のカリキュラムにあわせてフォローすることを第一に考えます。塾の教材を使いつつ基礎をしっかり固めたうえで、秋以降は志望校対策を中心とした個別の弱点強化につなげていくことがポイントです。

司会 逆に言えば今の時期に基礎固めをしておかないと、秋以降の勉強がスムーズに進まないといえますね。

富永 できるだけ早くから指導したいというのが本音

大木 たとえば直前3ヵ月だけの指導だと、多くのご家庭の要望は「過去問を教えてください」ということになるでしょう。でも過去問は土台がないと解けません。その時にあわてないためにも、今の時期にしっかり基礎固めをしておくべきです。

横林 今からか、直前期だけの指導か。それによって家庭教師としてできる範囲はまるで違います。早くスタートすれば、土台作りから応用力養成まで計画性を持って進められます。

富永 算数に限って言えば、人によって解く発想が違う教科なので、「私ならこう解く」という私の感覚がお子さんに浸透すると非常に指導がうまくいきます。これは時間をかけて身につくものですから、できるだけ早くから指導したいというのが本音です。

やる気のツボを発見し
指導に生かす 専門家庭教師の技

富永 恭子(とみなが きょうこ)
桜蔭中高出身という自身の経験を活かし、中学受験専門家庭教師として活躍中。担当生徒の学力を問わず成果の出せる、理系科目指導のエキスパート。きめ細やかで行きとどいた指導が持ち味で、受験終了後にも継続率の高い人気講師。

(過去の合格実績)
慶応中等部・慶応湘南藤沢・白百合・青山学院・鷗友学園女子・横浜雙葉・横浜共立・日本女子大附属・東洋英和・洗足学園・
カリタス女子・普連土など。

司会 家庭訪問をしたときにご家庭から最もよく言われるのが「やる気を出させてほしい」ということです。なにか秘訣はありますか。

大木 二通りのお子さんがいて、一方は本当にやる気がない子、もう一方はけっこう頑張っているのに親から見るとやっていないように見えるし成績も伸びないという子です。前者はいかに意識をこちらに向けさせるかが勝負で、これはどんどん対話を重ねていくしかないと思っています。後者での例で言えば、たとえば塾から帰って食事をした後、少しの時間テレビを見てボーっとしている姿をお母様はムダに感じる。それならば「その時間を有効に使ってください」と私はアドバイスしています。たとえば一問一答の知識問題の暗記の時間に当てる等ですね。そうすれば本人のストレス発散にもなります。

横林 私も全く同感です。お母様が出題者になって学習事項をクイズ形式で出す。もし間違えても叱らず、クイズで誤答したように明るい調子で正解を示すようにすれば、つらいだけの勉強ではなくなりますから。

大木 やる気のない子にはいかに意識を向けさせるかが勝負

富永 これは女の子限定かもしれませんが、今のお子さんはきれいなカラーペンをたくさん持っていますよね。だから正解した問題に好きな色を塗ってOKとか、問題番号を大きく書いてできたものからシールを貼ってOKと言うと、まだ小学生ですからとても喜びます。1冊きれいに塗り上げたことが、達成感と自信につながる例も多く、そういう演出も取り入れています。

藤木 今、先生方が言ったことは、いわばそのお子さんのツボですよね。でも人間十人十色なので、ある子に通用したことがある子には通用しない。だからわれわれが、ここを押すと食いついてくるような部分を早期に発見することが大事だと思います。私も社会科で歴史を教えるとき、それぞれ将軍と農民役になって、お互いに演じながら記憶を定着させるとか、お子さんの「ノリ」をいかに作るかを工夫しています。

横林 何といってもやる気への近道は「わかった!」という手応えを持たせることです。それがないとなかなか前には進めませんから、やはり私たち家庭教師が一番にすべきは、お子さんが一日も早く理解できるように学力を引っ張り上げることに尽きます。

第一志望とするのは
     高い目標でいい

藤木 泰生 (ふじき やすお)
大手進学塾講での20年にわたる指導経験を生かし現在は当会専任講師として活躍中。感覚や雰囲気に頼らない論理的な読解法は、国語が苦手な生徒から御三家受験生まで顕著な効果を上げている。効果の現れにくい国語指導での実績は当会講師陣の中でも群を抜く。

(過去の合格実績)
筑波大駒場・麻布・駒場東邦・栄光学園・聖光学院・慶応普通部・
慶応湘南藤沢・早稲田・早稲田実業・海城・芝・攻玉社・巣鴨・浅野・雙葉・横浜雙葉・頌栄女子・洗足学園など。
司会 今後の勉強を進めていくうえで、どんなことを心がければ学力アップにつながるでしょうか。

横林 「この式はどういう意味か、どうしてこうなるんだろう」ということをしっかり考えながら勉強することです。文章を読んで図にしながら、式の意味を納得すると、それだけで自信がついてきます。

大木 本当に理解できてないという場合、私は最初に問題文を一文ごとに切らせます。それで一段階ずつ、ここまで線分図ができた、式ができたと順々に考えていく習慣をつけると、長い文章でも読めて自分で考えられるようになっていきます。

富永 注意したいのは同じ塾の教材だけを勉強していると、形式的に問題を解く癖がつき、自分の頭で考えなくなってしまうことです。ですから、夏休みになると私は他の教材を使うのですが、多くのお子さんの手が止まってしまいます。偏った勉強をしないことはとても大事ですね。

司会 最後に受験生とご家庭に激励メッセージをお願いします。

大木 今は「成績がここまでしか来ていない。果たして志望校に届くのだろうか」と不安な時期だと思います。今まで見てきた例として、あわてて塾替えをしたり、同じ教科の家庭教師を増やしたりというご家庭がありましたが、これは逆効果です。一方でどっしり構えて十分な策を立て、夏休みを機にめざましく伸びたお子さんを数々見ています。希望を持って頑張ってほしいですね。

藤木 あきらめない気持ちが最後に成功を呼びます

藤木 そして最後まであきらめないことです。以前、11月の偏差値で44をとってしまったお子さんがいました。志望校が麻布で、お母様は真っ青でした。でも本人が楽天家で、12月も1月もがんばり続け、麻布と栄光のダブル合格をしました。「あきらめない気持ち」を今から持ち続けてください。

富永 私は皆さんに満足感を味わえる受験をしてほしいと願っています。それには受験校選びがカギになってきます。今は多くの私学が学校改革や個性的な教育に腐心していて、学校の質はネームバリューだけでは判断できません。教育内容のいい学校はたくさんありますから、必ずしも有名校だけにこだわらないで、よくよく探してお子さんにとってベストの学校を選び、「いい受験をできた」と有意義な経験としての記憶をお子さんに残してあげてほしいですね。

横林 確かに学校選びは大きいですね。ただ第一志望の目標とするのは高い学校でいいと思います。そこに向かってがんばっていくということが励みにもなります。そして成績に一喜一憂するのではなく、次への目標と捉え、受験勉強を通して本物の考える力を養っていただきたいと思います。

 


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