国学院久我山中学校 (東京都杉並区) 学校探検
男女別学というスタイル

最寄り駅、京王井の頭線の「久我山」からは徒歩15分。学校の北には玉川上水が流れ、南側は多くの寺院が点在。23区内にいることを忘れるような閑静な環境は、大きな魅力の一つ。
―まず、御校の沿革について教えてください。

 昭和19年4月財団法人岩崎学園久我山中学校開校、当初は男子校として開設されました。その後、昭和27年に国学院大学と合併し校名を国学院大学久我山中学校・高等学校と改称、昭和60年に中学校を再開し、平成3年中学校に女子部を開設、現在は男女別学の中高一貫校となっています。

―男女共学ではなく「別学」としたのはなぜでしょうか。

 授業を受けるホームルームは男女別です。学習指導の面において男子と女子とではそれぞれ特性があります。例えば、男子は基本的なところを教えてあと問題をやりなさいと言うと競争してやるんですね。一方で女子は競争ではなくてむしろ分からないところを教え合いながら学んでいくのが得意です。国語で班ごとに分かれて文章をまとめるといった作業は男子よりも女子の方が得意です。
 もう一つの理由は、本校では男子は柔道・剣道は必修で、中1で柔道、中2で剣道、中3でどちらか選択になっていて、武道を通して礼儀作法・マナーを身につけさせます。それに対して女子は、中2で茶道、高1で華道、その他「特別講座」で話し方やマナーについて指導します。男子も女子も目指すところは同じなのですが、アプローチの仕方が違うのです。ご家庭でも男の子と女の子とでは育て方は同じではないと思いますし、男の子に望むもの、女の子に望むものに違いがあると思います。世の中は男女平等・同権の社会なのですが、やはり育てるときにはそれぞれの特性に応じた指導が好ましい、と考えるのが久我山流なのです。

國學院大學へは424名中59名(約14%)が進学。「半付属校」という言われ方をするが、実態は進学校に近い。現役で国公立58名(現浪合計67名)合格は立派(H19年度)

―そうしますとホームルームと授業以外の、クラブ活動・生徒会・学校行事は男女一緒でしょうか。

 授業が終わった後の放課後は男女が一緒に動いています。例えばクラブ活動で文化部は全て男女一緒ですし、運動部でも弓道・剣道・陸上などは男女一緒ですが、体力差などで一緒に出来ない球技は男女別です。それから生徒会・委員会活動は男女一緒で、文化祭についても全学年・クラスから代表を出して実行委員会をつくり男女が協力してやっています。ですから放課後のキャンパスは共学校とほとんど変わらないです。
 久我山の大きな特徴は、学習指導・生活指導の面においては男女をきちっと分けて特性に応じてやるけれども、放課後のキャンパスライフの面では男女が協力し合いながらクラブ活動や諸行事をやっているという点、男子校・女子校それぞれのメリットを生かしながら、同時に共学校の雰囲気も味わえるということだと思います。

―修学旅行も一緒でしょうか。

 修学旅行は男女同じコースですけれども、やはり宿舎の関係で日程が若干ずれています。男子女子一緒に動くという形ではありません。

―女子部の方には女性の先生が多いのでしょうか。

 そうですね。やはり女性でなければできないこともありますし、しつけの面などにおいても男性では十分に目が届かないところもありますので、女子部には女性の教員がかなり配置されています。

通学途中の久我山生。夏は白の開襟シャツとグレーのスラックス、女子は夏冬を通じてオフホワイトのセーラー服。タイの色が、エンジ→黒へ、中高で変わる。

―学習システムについて中学段階における「質的な先取り学習」とは具体的にどのようなものですか。

 英語・数学については中学3年の1学期段階から高校の内容に入っていきます。例えば数学で、今の新教育課程では不等式なども高校段階で入っているようなのですが、本校では中学3年で学習します。数学科の教員の話を聞くと、むしろ中学段階で不等式などもやっていった方が、より自然な形で理解していける。ですから久我山独自のやり方で、効率的によりスムーズに学習できるシステムになっています。

―高校から国公立コース・私立コースに分かれるとのことですが、クラス数はどうなりますか。

 高1段階では圧倒的に国公立コースが多いですね。なかには国学院大学も含めて私立コースを望む生徒もおりますが、全体の割合としては3対1くらいでしょうか。

―中学から高校への内部進学の基準について教えてください。

 中学3年の1学期までの評定平均が、3.0以上です。評定3というのは、45点以上59点までですから、ほとんどの生徒が3以上の評定はとっています。

―高校へ進学せずに外部に出る生徒はどのくらいいますか。

数名います。年度によっては、1、2名です。

―授業についていけない場合の補習・講習について教えてください。

 本校は週5日制なので土曜日に土曜講座を設けています。中1から高3までいろいろな講座を設置して生徒は自由に選択できます。成績不振の生徒については担当者がアドバイスして基礎講座を取っている場合が多いです。ホームルームの枠にとらわれず基礎がやや厳しい生徒を集めての補充授業となります。年間10数回ですけれども、塾に行く前にまずこういう土曜講座を勧めています。逆に力があってもっといろいろな問題にチャレンジしたい生徒には実力養成講座も準備されています。

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