国学院久我山中学校 (東京都杉並区) 学校探検
進路指導・入試関連

情報教育にも力を入れている。現在、図書室・自習室・食堂・多目的室当を備えた「学習センター」の建設が進む。この地上3階建ての「学びの中心」は、平成20年4月開設予定。
―国学院大学への内部推薦制度について教えてください。

 評定などの基準・大学側から与えられている推薦枠もありますが、毎年それが余る状況です。希望すればほぼ進学できます。70名前後の推薦枠をいただいていますが、ここ数年国学院大学への推薦は50名前後で、全体の卒業生の10%前後です。残りの生徒はほとんどが他大学に挑戦します。これは私たちが他大学を勧めているのではなくて、生徒自身がいろいろな大学を目指している。国学院大学には文科系の学部しかありませんので、理科系志望者は全て他大学受験になる。そういう生徒のニーズを実現するためにそれぞれの生徒の学力アップを図っていく。毎年50名前後が国公立大学に進学しています。

―今春の他大学の合格状況はいかがでしたか。

 東大に現役で3名、東工大が7名、防衛医大に3名など国公立大に50名を超える合格者、早慶にも例年並みの合格者が出ています。

―大学の合格実績に関して、男子がよくて女子はもう一つ伸び悩んでいるといううわさを耳にするのですが。

 本校が男子校からスタートしたという伝統はあるのですが、女子の方も力を入れています。男子について高1から設けられている選抜クラスを、今年度から女子にも設置して難関・上位校に向けての指導を充実させています。

―中学・高校で塾や予備校に通っている生徒の割合はどのくらいですか。

 中学の場合は極めて低いです。本校の場合、英語・数学は先取り授業を行っていますので普通の塾だと進度が合わないんですね。そういう生徒には土曜講習を勧めています。高校に入って長期の休みには外部に通う生徒が出てきますし、高2・高3になると塾や予備校に通う生徒はかなり増えてきます。2007年度中学入試も、第1回男子で実質倍率4.4倍と昨年度を上回る厳しさですが、第2回入試を2・4科から4科に変更されましたが。受験生の8〜9割が4科生で、実際入学する生徒も4科生が圧倒的多数になっていますから、方向としては4科に統一するのが自然の流れでした。

鉄筋4F建ての「理科会館」屋上にある「久我山天文館」。延べ面積2066uのこの建物には、物理・化学・生物実験室、地学教室に加え、飼育室や視聴覚室を備えている。

―第1回不合格で、第2回または第3回で合格する人数は多いですか。

2回、3回とチャレンジして合格する人は結構います。

―複数回受験の場合の優遇措置がありますか。

 あります。第2回・第3回の合否判定のときにボーダー付近では前回受験しているかいないかがポイントになります。

―繰り上げ・補欠合格はありますか。

若干名です。

―来年度入試から募集を開始する「STクラス」について教えてください。

 はい、大学全入時代の到来といわれていますが、東京大学や一橋大学などの最難関国立大学の入試の厳しさは一向に変わりありません。それどころか、厳しさを増しているといっても良いでしょう。そこで、当校では「最難関国立大学に現役で合格する」ということを目標にした、特進クラスを設けました。一般のクラスよりもより速い進度でより深い授業を展開し、難関国立大学入試が要求する思考力と解答力を養おう、という主旨です。STという名称は、「Summit(サミット=頂き)」「Straight(ストレート=現役で)」「Spirit(スピリット=気概をもって)」の三つの語に含まれるSとTから取りました。

―6年間、完全に固定なのですか。それとも他のクラスからSTクラスに入ることができるのでしょうか。

 完全に固定ではありません。他のクラスでも頑張っている生徒は編入させますし、逆にSTクラスの中でも、もちろん十分にフォローはいたしますが、生徒本人のために別のクラスがふさわしい場合もあると思います。クラスの見直しは、年1回ないし学期ごとになります。

―来年度入試では「STクラス」は2/1の15:00集合、いわゆる「午後入試」に設定してありますね。

 15:20〜16:10までの50分間で国語と社会、16:30〜17:30の60分間で算数と理科、という形です。国語と社会、算数と理科については、どちらにどれだけ時間をかけてもいいようになっています。受験生の負担を考えたら夜遅くまではできない、かといって、難関国立大学受験を考えた場合、四教科のバランスも重視したい。その両方を満たす形ということでこういう形に決まりました。

今回の取材に答えてくださった、入試対策部長の和中正太先生。校務多忙の中、たっぷりと時間をとり国学院久我山の良さと教育のかける思いを語っていただけました。「頑張ってみたいという意欲があるお子さんは大歓迎」というお言葉が印象的でした。
―配点はどうなっていますか。

 算数60点、国語40点、理社は各20点の140点満点です。他の第1回(2/1)、第3回(2/2)、第4回(2/5)が国算各100点満点、理社各50点満点の合計300点満点ですから、配点上も特色があるといっていいと思います。

―STクラスに入るには、この2/1午後の選抜試験を受けるしかないのでしょうか。

 いえ、STクラスは「STクラス選抜試験」に合格されたお子さんと、第1・3・4回試験での成績上位者で編成されます。

―来年度、御校を目指している受験生に一言お願いします。

 久我山という学校はいろいろなことにチャレンジできる学校です。クラブ活動も活発です。今、お話しできなかったのですが、中2から高2まで対象のスキー教室、高1の希望者が参加するイギリス語学研修、さらに中2から高2まで対象の関西歴史散策ツアーなどもあります。もちろん勉強でも意欲があれば土曜講習なども設置されています。本当にいろいろな面で生徒の個性を伸ばすことができるのが久我山中学・高校なんです。意欲とチャレンジ精神があれば男子も女子も、勉学にクラブ活動にと可能性を伸ばすことができます。何かがんばってやってみたいという意欲のある生徒さんを望んでいます。

本日はお忙しい中、ありがとうございました。


取材を終えて

京王井の頭線「久我山」駅からの通学路の途中に玉川上水が流れ武蔵野の面影を残す環境の中、平成20年4月には図書室・自習室・食堂などを備え多目的に活用される学習センター(仮称)が開設され教育施設もますます充実・発展する国学院久我山。「時代がいかに変わろうとも、学ぶ者の姿勢は変わってはいけない」との和中先生のお話に「文武両道」の久我山のアイデンティティーを感じました。



 ■学校データ
〈住所〉東京都杉並区久我山1-9-1
〈TEL〉03-3334-1151
〈生徒数〉男子650名、女子373名(25クラス)
〈最寄り駅〉京王井の頭線「久我山」15分
〈URL〉http://www.kokugakuin.ac.jp/kugayama
〈試験日〉第1回目 2月1日 第2回目 2月2日 第3回目 2月5日 ST入試 2月1日(午後)
〈選抜方法〉筆記試験(国算理社 国算各50分 各100点、理社各40分 各50点 ST入試を除く)
〈難易度〉男子51(四谷大塚80%偏差値) 49(日能研R4偏差値) 女子50(四谷大塚80%偏差値) 49(日能研R4偏差値) いずれも第1回目入試の数値
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