立教女学院中学校 (東京都杉並区) 学校探検
「知的で品格のある凛とした女性」を目指して

聖マーガレット礼拝堂。1932年完成、平成17年に杉並区の指定登録文化財に登録された。設計者は聖路加国際病院などの設計を手掛けたJ・V・W・バガミーニ。古典的なロマネスク様式を基調としたデザインで通常は一般には非公開とされており、年に2回程度行われるオルガン演奏会の開催時など、限られた日時のみ公開されている。
―御校の沿革について教えて下さい。

1877(明治10)年の創立で今年で133周年を迎えます。関東大震災までは中央区築地にあり非常に瀟洒な校舎で注目されていたようです。関東大震災で倒壊し1924年に現在の杉並区久我山の地に移りました。武蔵野の面影が残る環境がよいということでこの地に決めたようです。本校はキリスト教の中でも聖公会という教派に属していますが、アメリカの聖公会のご婦人たちがこの土地を購入する基金を寄付してくださいました。後に、立教高等女学校と改称され、1947年に小学校、1967年に短期大学ができ、現在では認可幼稚園から短期大学までとなっています。

―池袋の立教学院とは姉妹校ということですが、学校間で何か交流のようなものはありますか。

創立者が共通で、男子の立教学院は本校の3年前にできました。現在、小学校では交流はありますが、高校では年に一度、生徒会の交流がある程度です。


創立者C・M・ウィリアムズはわが国最初のプロテスタント宣教師として日本に赴任した。キリスト教精神は立教女学院中学高校のバックボーンとしてすべての教育や活動のベースとなっている。立女の一日は毎朝の礼拝から始まる。

―御校の目指す女性は「知的で品格のある凛とした女性」と伺っていますが、教育方針について教えて下さい。

まず、高い学習能力を与えることが必要だと思っています。なぜなら、世の中においていろいろな分野で活躍していける女性、ある意味でオピニオンリーダーになれる女性に育て社会に送り出すわけですから、高い教養を身につける手段としての学習能力をみがくことが大事です。次に、国際的な視野をもつことが必要です。狭い殻に閉じこもっているのではなくて、世界に目を向けられるような女性に育ってほしいですし、そのためのプログラムも用意しています。

―以前、御校で高校3年生を対象にした「キリスト教教育の影響を受けたか」というアンケートで95%の生徒が何らかの影響を受けたと回答していると伺ったことがありますが…

一番生徒たちに影響を与えているのは毎朝の礼拝だと思います。8時15分から35分までのわずか20分ですが、チャペルと講堂を使って週ごとに中学生と高校生が入れ代わって行われています。キリスト教の知識を学ぶというよりも、心静かに自分自身を見つめる時間として受けとめているのではないかと思います。何気なく過ごしているようですが、卒業してから徐々に効果が表れてくるようです。本校のキリスト教教育というのは、おしつけるものではなくて、生徒一人ひとりが自分で考えながら人間形成をしていくものですから束縛感などはありません。
吉祥寺から2分、という抜群のアクセスでありながら、5万平方メートルを越えるキャンパスは閑静で緑も多い。写真は中庭の一景。「イギリスのパブリックスクールのような雰囲気」と評されることも多い。幼稚園・小学校・中高・短大と同一キャンパスにあるが、少人数制を貫いているので手狭感はないという。

―土曜集会というのはどのようなものでしょうか。

年間10回、6年間で60回になりますが、土曜日の午前中に中学・高校それぞれに分かれて、その年のテーマに基づいて各界で活躍している方々を講師としてお呼びしてお話を伺い、ディスカッションをします。いろいろな問題に目を向けてもらおうという趣旨なのですが、これをきっかけに自分の進路を決めていく生徒も多くいます。例えば、エベレストの登山ガイドの方とか、日本最初の女性の樹木医の方とか、山谷地区ホスピスの看護士さんとか、現在最先端で活躍されている方に1年以上前からお願いして実施しています。

―ボランティア活動に大変力を注いでいると伺いましたが。

本校のボランティア活動は創立以来と言ってもいいと思います。明治時代、日本で最初に知的障がい者の施設を作った方が本校の教頭を務めていた関係もあって、ボランティア活動は本校の特色の一つです。1995年の阪神淡路大震災のときにも、大学進学が決まった高校生たちがグループを組んで被災地へ行きいろいろなボランティア活動に参加しました。現在も一例を挙げれば、夏に聖路加病院のボランティアにたくさんの生徒が自発的に応募してきますし、学校以外でも個人として老人ホームに行ったり積極的に関わっている生徒が相当数います。学校に報告せずに自分たちで地道に活動しているようです。ボランティアも学校が与えて活動するのではなく、自分たちの中から自然に身についている環境・風土といったものが立教女学院にはあるなあと感じています。
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