本郷中学校 (東京都豊島区) 学校探検
特進コース1期生。その狙いと結果

都心には珍しく、土のグラウンド。しかもその広さは、ラグビーやサッカーの公式試合ができるほど
―特進コースがありますね。

まず中3のときに特進予備クラスを作ります。この選抜基準は、定期試験の成績+Z会の外部模試の結果によります。中3に上がる際に140〜50名の希望者がありますが、これを上記の基準で約80名に絞ります。この約80名をさらに高1にあがるときに約40名にします。

―入れ替えもあるのですね。

ええ、学年が上がる際に入れ替えをします。毎年7・8名程度入れ替わりますでしょうか。

―今年の入試結果を見ると、「やや寂しい」という声があります。

はい。もっと我々も頑張らないといけませんね。特進クラスの最初の受験でしたが、東大が2名、うち現役が1名ですから。

制服は伝統的な黒の詰襟。ブレザー主流の昨今にあって、かえって詰襟に憧れる受験生も多い

―その原因は?

ええ、これは学校全体の問題として捉えておりまして、受験生を責める気はまったく無いのですが、実は、高3の12月の段階で東大受験予定者が20名いたのですよ。ところが、ほとんどの生徒が、早慶受かった段階で良しとしてしまう。結局東大を受験したのは4名です。これは想定外というか、残念でしたね。4名受けて1名合格ですから比率としてはそんなに悪くは無い、というのは、強がりに聞こえてしまいますか(笑)。
来年度にむけて、担任に発破をかけましてね、東大20名受験は死守せよ、と。生徒をその気にさせる、というのは大切な担任の能力です。1月は高3生はほとんど学校に来ませんが、毎日でもいいから電話しなさい、と。そうしないと受験生は不安で不安で仕方ないですから。生徒の能力を考えたら、もっと数字は伸びるはずです。やり方一つです。まあ、来年は見ていてください、と申し上げたいですね。

―本郷はのんびりしている?

ええ、のんびりしているかもしれませんね。本郷の伝統でしょうか(笑)。ご父母からして、ガツガツ勉強勉強という学校生活を望んでいません。クラブも熱心にやり、良い友人と出会い、充実した学校生活を送って欲しい。そんな声が圧倒的に多い。ですから、大学受験予備校的な学校ではありません。

カナダでの海外研修での1コマ(キャピラノ吊り橋)。中3と高1の希望者対象で、16日間の長きに渡りホームステイと現地校での語学研修を行う。抽選が必要なほどの人気

―宿題もそんなに多くない。

はい。少ないですよ。勉強と言うのは本来、自分で切り開いてやっていかなくてはならないものです。宿題をこなせばいい、というのでは心もとない。宿題と言うのは、あれは教える方のためにあるものでしてね。自分が教えたことがどれだけ定着しているかを確かめるためのものです。その宿題をバンバン出して、出来なかったらペナルティなんていうことはやめなさい、と。

―いわゆる「二日校」特有の悩みとして愛校心の問題があると思うのですが。

 確かに一日校に比べれば、第一志望者の割合は少ないでしょうね。本人もさることながら保護者の方が、「ここはあなたが行くべきところではなかった」とおっしゃる(笑)。こうなるとなかなか子供の方に愛校心というのは育ちません。
 ですが、入学時に上位で入ったお子さんがそのまま順風満帆に行くとは限りません。むしろ、やっとのことで入ったお子さんの方が、6年後には上位に行く例がたくさんある。「こんな学校」と思っていては勉強も伸びていきませんし、「やればできる」と思っているうちに6年たってしまう。そういう意味では、早く本郷を好きになってもらうことがいかに大切か。そのために、1年の担任はみんな一生懸命努力しています。その甲斐あって、1年生が終わる頃には、大部分の生徒が「本郷が好きだ」と言ってくれるようになります。


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