渋谷教育学園幕張中学校 (千葉市美浜区) 学校探検
今年度 東大合格38名。その秘訣は

生徒玄関を校門から望む。白が基調の明るい校舎。建物はゆったりと配置され、開放感溢れる。
−今年、東大が38名合格。しかも現役で27名。とうとう名実ともに県立千葉を凌駕しましたね。その秘訣は。

 一つは、シラバスを国内の中高では最も早く取り入れたこと。またカリキュラムを年々充実・整備してきました。そのような教員の試行錯誤が実を結んだ、という点も何割かはあります。ただ明らかに数年前と異なってきたこととして、高3に上がる段階で、60から70名が東京大学を志望するようになってきました。何年か前は、最多は東京大学ではなく、他の国立大学が一番でした。それが2・3年前から圧倒的に東京大学を目指す生徒が多くなりました。自然に生徒の意識が変わってきたのですね。かといって、われわれが「目指せ東大」と煽っているわけではないのですが(笑)。 東京大学を目指す生徒が
多くなると、自然に、友人同士で刺激しあって支えあって、合格者も増えていくものですね。

−高3生が1学年316名ですから約1割弱が現役で東大合格。すばらしいですね。

 そうですね。センター試験を受験した生徒たちを調査すると、本校のセンター試験受験者で上位50番以内で東大を目指している子はほぼ全員合格しています。日常の学習成績でも300位以内にいると、早慶には届きます。もちろん、きちんと準備すれば、という前提ですが。

−2004年3月の数字で、330名卒業で、大学進学が201名、浪人が127名。やや現役進学率が低いのが気になります。

 例年ですと、現役進学率が65%くらいです。なかなか、現役時は、第一志望に合格しないと進学しない傾向があります。普段、当校では一切成績による氏名掲示ということはしていないのですが、大学合格実績だけは後輩の励みにもなるので、氏名と合格大学を校内に掲示するんです。ところが、最近はかなり上位の大学でないと、合格していても「掲示しないで下さい」と。それだけ、意識が高くなっているのですね。

都心の学校には望めない広大なグラウンド。中庭ではドリルチームが練習をしていた。ドリルチームの他にもラクロスやフットサルなど他にはないユニークな部活動も。

−進路指導の特徴はありますか。

 中学段階からかなり細かくやっているつもりです。中学段階では、自分史を書くということを通じて、家族のことまで含めて「生き方」や「職業」というものについて意識づけを行います。また、「職業調べ」と言いましょうか、家族以外についても身近な職業について、その楽しさ、喜び、またはその苦労や辛さ、そんなことを自分たちで調べてまとめさせます。そうやって行く中で、自分の目指す職業やそのために大学で何を習うか、そのような、将来の自分に向き合う作業をかなり早い段階から行っていきます。
 後は目標がきまったらその実現に向けてまい進するだけですね。高2から文系理系のコース選択を行って大学受験に向けた体制に入っていきます。

−習熟度別クラス編成はなさっていますか。

 当校は、帰国生が多いですから、帰国生を取り出した英語や数学の授業を行ったり、中1・中2の英会話の授業で通常のクラスをさらに細かく分けて編成していたりはしていますが、一般の課目でいわゆる習熟度別編成はしていません。
 
−その必要がないほど粒がそろっている?

 そうですね。それと、同じクラスで一緒に学習していくことの大切さといいましょうか、もちろんどの子も得手不得手はあります。そして友達はまた自分とは違う科目を得意にしていたりする。その中で教えたり教えられたり、を互いにする中で友人関係がまた育っていく。そのような部分の重要さ、というものを考えるとき、あえて習熟度別という形態をとらなくても学べることはたくさんあるのではないか、と。むしろ一つ一つの科目について輪切りにしてしまう方が、弊害があるような気がします。

入学式での風景。入学式の頃には桜の花が咲き誇る。制服は最近トレンドの、エンブレム付きのネイビーのブレザーにレジメンタルタイ。(女子はリボン)

−中学入学者と高校入学者の大学合格実績に差と言うのはありますか。

 今年はほとんど遜色が無かったですね。例年、ほぼ同じか、若干、中学入学組が良いかという感じです。

−高校入試をクローズする予定は?

 はっきりとした保証というのは、なかなか申し上げられないのですが、確かに中学募集だけにすれば、もっとカリキュラムの充実度もあがりますし、手を掛けてあげられる、ということはあります。ただ、高校入学生の中にも優秀な子がたくさんいますし、両者を比較した場合、中学入学生に比べて劣っているということもありません。正直申し上げて、高校募集が120名だったときは、集団の一番下のラインで比べた場合、やや高校入学組の方が分が悪いかな、というのはありました。それが高校を80名に絞ってから、ほぼ差はなくなりました。
 また、高校から入ってくる生徒たちは、「自調自考」の学校に入ってくるという意識がありますから、勉強だけではなく校内行事でも本当に頑張ってくれます。
 ですから、この状況が続けば、地域のニーズもありますし、高校入学は開けていこう、と思っています。ただし、何か状況が変わってくればそれはそれで考えていかねばならないでしょうね。

−中学入試において地域ハンデがある、つまり県内生が優先され、県外生はハンデがある、という噂について真偽を教えてください。

 それは、まったく無いです(笑)。合否判定会議に上げる資料というのは、受験番号と点数、そして分布表のみです。そこには氏名さえもありませんから、もちろん、どちらに住まいがあるかなどということは知りようもありません。
 そのような発想をなさる方には、逆に「地域によって優遇したりハンデをつけたりすることで、何か学校側にメリットはあるのですか」とお聞きしたいですね。われわれが考えるに、そんなことをしても、メリットがあるどころか、失うものの方がずっと多い。どこに住んでいるか、というのは、われわれにとってまったく重要ではありません。入学してくる子が渋谷幕張で学びたいという気持ちがあるか、保護者の方がそれに同意しているか、そして学んでいくだけの学力があるか、それが大切なのであって、住んでいるところとか、性別・国籍、まったく関係ありません。これは男女比についてもいえることなのですが、男女のバランスが良くなるように男女ごとの異なる基準を設けているのではないか、とよく言われるのですが、それもありません。
 当校は、「多様性」を非常に大切にしている学校です。多様な個性を持っている生徒同士が触れ合うことでお互いが成長していけますよね。いろいろな個性を持った生徒がいたほうが、間違いなく学校内も活性化されます。

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