吉祥女子中学校 (東京都武蔵野市) | 学校探検 | ||||||||||||||||||||||||
大学合格実績大躍進の秘密!
―中高一貫のカリキュラムではまず先取り授業が思い浮かびますが、御校のカリキュラムの特徴を教えて下さい。 いわゆる極端な先取りはしていません。当然時数が多いということと選抜集団ですから、普通に授業をしても早くなるとは思うのですけれども、中2で中3の領域を終えて中3で高1の領域を終えるというそこまでの先取りはしていません。やはり裾野を広げて基本的な力をつけようというのが一番ですから。例えば理科では進度はそれほど早くはないのですが、実験を年間で30回、中学3年間で100回弱行っています。将来理系に行く行かないにかかわらずデータを読む力・まとめる力は必要ですので、実験をやりっぱなしではなくレポート指導に力を入れています。国語では「現代文学名作選」「現代文選」を検定教科書と併用して、昔の名作や現代的な評論とかを積極的に取り入れています。単なる先取りというのではなく厚みを持たすと言いますか、そういうところで時間を割くようにしていることも中高一貫の特色かなと思います。 ―生徒によっては苦手科目の授業についていけない場合もあると思うのですが、何かフォローするしくみがありますでしょうか。 英語と数学に関しては週1回ずつ指名制で補習を行っています。だいたい3,40名指名されて、定期テストごとの入れ替え制です。補習はクラブ活動よりも優先しますので、補習になるとクラブに出られなくなります。意図したわけではないのですが、生徒たちにとっては好きなクラブに出るためには勉強もきちんとしなければならないといういい意味での動機付けになっているようです。 ―課題や小テストが多いとうかがっていますが。 生徒にアンケートをとると家庭での勉強時間が1時間未満の生徒がいるんですね。そういう生徒にとっては多いという印象があると思います。課題や小テストが多くて全員がアップアップでもう提出もままならないというのであれば、教科間の調整をしなければならないと思うのですが、現状はちょっと多めではあるけれどもそこそこの量かなという気がします。
―中学から高校へ入る際の進級の基準と中学から外部を受験する生徒の数を教えて下さい。 成績や生活面も含めて審査がありますが、ここ10年ほど基本的に希望者は全員高校へ進級しています。外部受験を希望する生徒がいない学年もありますが、1,2名が都立高校などに進みます。高校に入ると単位制ですから単位が取れない場合には進級できません。ただ実際に留年する生徒は5年間で1人くらいです。 ―中学・高校で塾や予備校に通っている生徒の割合はどのくらいですか。 生徒にアンケートを毎年とっているんですが、中学生は1割ぐらいです。高校生、特に高3の場合には午後が選択授業になります。受験科目をとるんですけれども、予備校でも1科目ぐらい他流試合的にとっている場合が多いようで、そういったものも含めると、7割くらいでしょうか。学校の選択科目は1年間ずっととらなくてはいけないので、2科目は学校で、残り1科目は予備校でという場合も多いようです。 ―高2で国公立文系・私立文系・理系・芸術系に分かれるとうかがいましたが、生徒の割合はどうなっていますか。 今現在の割合で言うと、国公立文系1クラス・私立文系2クラス・理系2クラス・芸術系1クラスですが、国公立文系と理系が増えてきているので、将来的には国公立文系2クラス・私立文系と芸術系で2クラス・理系2クラスになると思われます。 ―平成18年度入試から1回目も4科入試となりましたが、受験生の人気は相変わらず高く、合格者の手続き率も上がったとうかがっていますが。 一つは大学合格実績も含めた教育内容の評価をいただいたこと。全て4科入試になりましたので上位の受験生がそのように本校を見てくれているのかなと思います。それと入学金・施設費も全て2月7日納入にして、施設費は2月28日に返金ということにしましたので、逆説的ではあるのですが手続きを遅くしたことも手続き率が上がった原因かと思います。
―入試の合格最低点も3回とも従来の年とほぼ同じで、入試問題自体、内容・形式ともバランスが取れていると思うのですが。 平成17年度までは3回目だけ理社の配点が高かったのですが、本校の場合複数回受験も多いですし、やはり問題のレベルをきちんと維持してぶれない形にするには3回とも同じ時間・配点の方がいいだろうということで変更しました。作問自体も6月頃から始めて半年以上かけてますし、ちょっと手前味噌になるのですが、おかげさまでいろいろな問題集でサンプル問題として採り上げられるケースもでてきています。 ―たとえば算数は、今年度から大問6問で、計算・一行問題の後に応用問題が続きますが、合否が分かれるのはどのような点ですか。 やはり計算・一行問題は落とさずに、逆に応用問題の後半の難しい問題はできなくてもボーダーは越えますから、時間配分が重要となります。 ―理科・社会についてはいかがですか。 各分野均等に出題されます。理科は知識問題の他にグラフのデータを読み取る力をみてますから、やはりその場で考える力が必要です。社会もそうです。一問一答形式ではなくて考えながら読み解きながらという問題が結構あります。ただ問題の量が多いですから、過去問で慣れておいた方がいいと思います。 ―最後に進学実績について教えて下さい。 昨年は今までになく、国公立や難関私大などに多くの生徒が合格しました。国公立の合格者が初めて50台に乗って、今までの中で分母が一番小さいにもかかわらず、こういう結果が出ました。早慶上智などもがんばったかなと思います。昨年の卒業生188名中、国公立に計52名合格、内現役が44名、早稲田大・慶応大・上智大・国際基督教大・東京理科大に計138名、内現役が112名となっています。今の高1が3回入試の最初なのですが、これから先は入口に比べて出口で伸ばしてくれる学校というのには甘んじず、さらにレベルアップしていきたいと考えています。 ―本日はお忙しい中、ありがとうございました。 取材を終えて 正門を入ると、落ち着いて女子校の雰囲気に包まれ、恵まれた教育環境。大学合格実績も難関校を中心に毎年着実に伸びている吉祥女子。その一方で、クラブ活動・学校行事・国際交流もとても盛んで、受験生に人気の秘密は入学後の多様な選択肢にもある気がしました。07年度からは中高完全一貫校となり、ますますのレベルアップが期待されます。 年末のお忙しい時期に快く取材に応じてくださった広報部長の萩原先生、本当にありがとうございました。
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