成蹊中学校 (東京都武蔵野市) 学校探検
入試・進学

中高あわせて9万冊の蔵書数を誇る図書室。コンピュータによる蔵書検索も可能。また高校生は成蹊大学情報図書館も利用できる。
―高校でのクラス編成はどのようになっていますか。

ホームルームを理系・文系に分けず、希望するコースの授業を取っていく形です。学校の中に社会の縮図をおき、その中で異なる進路を目指す友人たちと生活することによって、自分の進路を見直しながら成長していってもらいたいと考えているので、男女共学で理系の生徒も文系の生徒も一緒になっているわけです。従って、成蹊では内部推薦で進学する生徒も受験を目指す生徒も一つのクラスの中にいて、お互いを認め合い、切磋琢磨しています。高3になると、約18あるコースの中から1つを選択しコースの授業を受けることとなります。

―中学から高校への内部進学の基準について教えて下さい。

10段階で全教科の平均が中3で6.0以上、欠点(4.0以下)がないことを条件とし、それを下回る場合には成績会議で状況を話し合い、進学を認めるかどうか判断します。

―高校へ進学せずに外部に出る生徒はどのくらいいますか。

基準に達しないということで外部に出る生徒は平均すると、2,3人です。もちろん1人もいない年もあります。それ以外で外部に出たいという生徒は5人前後でしょうか。たとえば小・中で芽生えた特殊な活動やスポーツを更に伸ばしたいというとき、それが成蹊にないものであれば他の道を選ばれる場合があります。

―授業についていけない場合の補習あるいは休み中の講習について教えて下さい。

学校として制度的に行っている補習・講習はありません。対応としては、各授業担当者が個別指導という形で行っています。基本的には授業で理解してもらうということです。個別指導を大事にしているのは集めて補習をするよりも授業で分かるようになる率が高いという感触を持っています。一人ひとりノートの取り方であるとか問題点を探し出して丁寧に指導することで、高学年になったとき自分自身で学べる可能性は高くなると思います。

―高2・高3で塾や予備校に通っている生徒はどのくらいいますか。

外部を受験する生徒が夏休みなどに講習を利用している場合は多いと思います。例えば医学部専門の塾に通う生徒、芸術系のレッスンに通う生徒など進路によってさまざまです。

中学生の憩いの場、中学生徒ホール。昼食時にはお弁当を持ち寄って食事をしたり、放課後には友人と勉強をしたり語らったり。生徒のためのフリースペース。

―成蹊大学への推薦の基準はどうなっていますか。

10段階で平均6.5以上です。内部推薦を目指している生徒にとってはそれほど厳しくはないはずです。後は推薦テストの合計点が50%以上であることが条件です。大学から推薦枠は多くいただいていますので、ここ数年は希望する学部・学科に入学しています。

―成蹊大学への推薦の権利を留保して、他大学を受験することはできますか。

はい、内推併願といいますが10段階で平均8.0以上が条件になります。成蹊の進路指導は将来何になりたいのかということから始まります。そうなるためにはどういう学部・学科を選ばなければならないのか、そしてその後でこの学部・学科のある大学は、という順序になります。われわれも進学実績は考えますけれども一番は生徒の将来ですから、生徒がどんな道に進みたいと考えているか、生徒自身が自分の将来を一から考えるということを大事にしています。

―授業内容に関して国語では記述が重視されていて、それが入試にも反映されているということですが。

成蹊では、作文の授業が独立しており、文章力や表現力の向上に力を入れています。また、基本的な国語力を身につけることは、全科目を学習していくうえでの基礎になると考えています。そのような成蹊の指導方針をご理解いただくという意味でも、特に国語や社会の入試問題で記述問題が多く出題されています。
小学校の段階で特に身につけてほしい力は、「読む力」、「書く力」、そして「計算力」です。「読む力」、「書く力」は成蹊に入学してから全ての科目を学んでいくうえでの基本です。例えば、理科は理数系ということで一見数学だけが関係しそうに思われますが、理論的な文章を読んで理解し、それに対して文章で表現するという力は不可欠です。やはり「読む力」・「書く力」を磨いて、少なくとも書くことを嫌がらない生徒に入学してほしいです。

生物の授業を担当される傍ら、入試部長の要職を務められる保母禎造先生。お忙しい中にもかかわらず、成蹊の教育の特色や生徒たちの様子について具体的にお話いただきました。

―入試準備として記述というと苦手なお子さんが多いと思うのですが、実際の入試で答案の完成度というのはいかがですか。

成蹊を意識して勉強してきたお子さんは記述式の問題の対策は十分にしてきていると思います。説明会などでお話しているのは模試の結果や偏差値だけで見ないで、記述式の問題がしっかりとれているかどうかを見てくださいということです。

―平成20年度入試から2月1日と4日の2回入試となりましたが、2月1日のみの日程から変更したのはなぜでしょうか。

募集人員を増やすことができたことが一つのきっかけですが、入試当日に体調が悪いとか実力を発揮できなかったお子さんにもう1回チャンスを与えようという趣旨です。

―平成22年度一般入試の変更点について教えて下さい。

まず面接試験を行わないことと、筆記試験の時間が各教科とも10分間ずつ短縮されます。
いずれも受験生の負担軽減のためです。面接の代わりというわけではありませんが、出願時に志望動機を書いていただきます。

―最後に受験生に一言お願いします。

最近、中学受験が厳しくなるにつれ、受験を終えて入学し6年後大学受験で更にチャレンジしようという意欲のあるお子さんが少なくなってきている気がします。成蹊に入ってくるお子さんには中学の段階で基本的な勉強の仕方を身につけて、もう一度、大学で上を目指すぞという気持ちをもって入学してほしいと思います。

<取材を終えて>

吉祥寺駅からバス5分というアクセスのよい立地でありながら、緑豊かな広大なキャンパスに小学校から大学院までを擁する成蹊学園。創立100周年を前に中学と高校のホームルーム棟も新たに完成し、取材当日は部活動の生徒たちがグラウンドを走り回っていました。
今回は今も受け継がれている建学の精神や中学受験の変更点などについて、入試部長の保母禎造先生にお話を伺いました。保母先生、ありがとうございました。

 ■学校データ
〈住所〉東京都武蔵野市吉祥寺北町3-10-13
〈TEL〉0422-37-3818
〈生徒数〉男子465名、女子240名(2008年度)
〈最寄り駅〉JR中央線・京王井の頭線「吉祥寺」徒歩20分、バス5分
〈URL〉http://www.seikei.ac.jp/jsh/
〈試験日〉@2月1日 A2月4日…2009年度の場合
〈選抜方法〉筆記試験(国算理社 国算各60分各100点、理社各40分各50点)、個人面接
〈難易度〉@男子52(四谷大塚80%)52(日能研R4)、女子56(四谷大塚80%)55(日能研R4) A男子57(四谷大塚80%)56(日能研R4)、女子60(四谷大塚80%)57(日能研R4)
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